空地が急速に分譲マンションで埋められています。購入者は初めて住宅を持とうとする世代か、除雪苦から逃れ利便性を求めて、郊外から回帰する高齢者です。30年後を想像してください。転勤者は転貸せざるを得ず、高齢者は徐々に亡くなり、若かった住人の高齢化が進んでいます。人口減少時代に修繕やリニューアルが行われたとしても、転売できる価値や可能性が残っているでしょうか。戸建感覚で有効率が高く、したがって共用部が少ない現在の分譲マンションは、コミュニティスペースが充実していません。
共生の時代であるのに、コミュニティを形成するゆとりある集合住宅が少ないのです。高齢者の終の棲家はこの分譲マンションではなく、福祉施設へ転居せざるを得ないでしょう。しかし、転売できなければ、その資金はどこから出るのでしょうか。 |
ヨーロッパでは、土地は「皆の物」という意識があり、建物の質が維持されています。日本人は、借り物は「仮の物」という所有意識の強い文化を育ててしまいました。年齢や家族数、勤務地や年収などで自由に好きな場所や広さを選択できるはずが、所有することで土地や建物に縛られています。また、供給する側も「仮の物」という質の賃貸住宅しか提供してきませんでした。 |